「バイト」が給与交渉(脅迫)して日給を上げた話~その1~
最近、超のろのろと、アーレントの『責任と判断』を読んでいます。
書中における目標のひとつが「悪をなすより、なされるほうがましだ」というソクラテスのことばを論証することなのですが、最近、感覚的に「たしかに」と思った出来事があったので、お茶請け話(謙遜です。実際は武勇伝のつもり)を、ここでひとつ。
最近、コロナ関連のお仕事をしてたのですよ。
陰性者対応をして、24時間拘束で25000円。ただし、実働は4~6時間。
ただ、まあ、この環境がめちゃくちゃで。
2つ山場があるので、順に書きますね。
まず、現場に入る前は、かなり楽って聞いてたんですね。
ただ、実際に送られた現場は新規オープンしたてで超混乱状態。研修なし、指示もあっちとこっちで違う、みたいな。
ほんで、初日、私は、混乱に乗じてサボってました。
周りの人はですね、そんな混乱状態で働くとミスるのですよ。そもそもどれが正しい指示かもわからんし。で、ミスって、怒られる。
でも、私は仕事をしていないのでミスらず、怒られない。
そんなことをしていたら、とうとう、現場を「よく見ている」お偉いさん(古狸と命名)が、こっちにきて言いました。
「こんな現場には、じゃがいもさんみたいな、エース級の人が必要だ」
「じゃがいもさんに、一、仕事を任せると、十、十一、十二にして返してくれる」
(他の人が十やって、私は、些末な一、二をやってただけです)
私は、ヘラヘラと「恐縮です」。
そんなんで出勤2日目、バイトリーダーにさせられました。そして、実働20時間勤務。
現場に指示出せる人が、圧倒的に少ない。その右腕になる人はもっといない。
私は、なまじ、前日に効率的にサボるために現場を見ていたせいで、どう仕事をすればよいのかは分からないけど、誰がどの仕事をできるかはわかってたんですね。だから、トランシーバーを持って、本部からきた仕事を、末端に振ることだけはできる。
この右腕的役割をできるのが私しかいなくて、まじで現場回らないから、やりましたよ。
でも、絶対、このまま待遇も同じで働かされると思ったので、出勤2日目でバイトリーダーになり、辞め(かけ)ました(笑)
ただですね、別に、めちゃくちゃ働かされただけなら良いっちゃ良いんですけど、人種差別やパワハラがあって、そっちにムカついてたんですよね。
余った弁当を「外国人」チームにだけ配らない、とか。理不尽に怒ってるとか。
別に私は直接の被害者にはなってなかったのですが(むしろチヤホヤされてた。それはそれで怖い)、そんな話聞いたら、ムカつくっしょ。
なので、現場の人やお偉いさん皆入ってるライングループに「爆弾投下」して辞め(かけ)ました。
それはそれは丁寧な文章で、この現場のダメなとこと改善点をね、ご丁寧にも。
まあ、謙遜もしたし、ゆーて、皆をチヤホヤしたので、多分、読んだ人も嫌な気持ちにはならなかったんじゃないかなあ。
「最低限の研修はしようね」とか真っ当なことしか言ってないし。
そしたら、古狸から電話がかかってきて「給与上げるから残ってくれ」と。こんなやつ、よう残したがるなと思いましたが「いくらお金をいただいても、差別する人たちとは働けません」と返しました。
狸「差別ってなんですか?」
芋「お弁当の件が云々」
狸「あ、それなら、今はお弁当自体配ってないので問題ないです」
芋「お弁当が問題なのではなく、合理的な理由なしに、特定の属性の人びとに対し不利な扱いをすることを私は差別だと考え、それを問題視しているのです」
狸「わかりました。その点については私も深く反省します。他の幹部陣にも共有させていただきます」
その後、実際に諸々改善されたという報告を受けました。
正論を丁寧に喋る芋のおかげで、環境(多分多少)改善、めでたしめでたし。
え、私がそんなことした理由ですか?話のネタのためです。(今はできないけど)飲み会にちょうどいいでしょ?笑
ここまでが第一部です。
ここから第二部です。
電話の続きで、「別の(楽な)施設はどうか」と言われたので、色々確認し、条件も付けて承諾しました。
そしたら、まあ、確かに、クソ楽。
ただ、24時間ずっと待機なので、完全な休憩はないんですよね。実働は4~6時間だけど、ラインで仕事が振られたら、即行かなきゃいけない。
(結果的に、夜は6~9時間寝てました)
あとですね、私、前の施設でかっちょいいことをしてしまったので、前の施設同じだった色んな人からライン追加されて、お褒めの言葉をたくさんいただいたのですよ。
みんなね、おかしいと思ってたらしく。
フンフンと良い気持ちになっていたら、変な男も混ざってて。
「芋さん、一人ぐらし?」
「いや、友達とシェアしてます」
「えー、そうなの、遊びに行かせてよ!」
「いやー、うち、誰も上げちゃいけないルールなので」
「えー、ダメなの?じゃあ、俺とデート行こうよ。ふふ」
おいおい、冗談は年齢(40)に合わない髪型(私とお揃い)だけにしてくれよ。てか、こんな、歩くカミングアウトでも、女ならなんでもよいのねえ。
ほかにもですね、「守りたいおじさん」も現れたのですよ
よく喋るおじいちゃんに絡まれている(ちょっとうざいけど、嫌までではない)状況で、隣にいたおじさんに、ライングループからいきなりライン追加されて、突然
「芋さんを守りたい」
お?おまえが、我を??と思いながら「えーじゃあ、助けてくださいよ」と返しました。
「いや、僕は巻き込まれたくないです」
お、お、冗談は冗談だけにしてくれ??
あとですね、待機時間にでっかい声で風俗の話してるやつらがいたり、
「次、エレベーターで上がってくる人、お前のタイプの女かな」
→おじさんが上がってくる、爆笑みたいなことしてるやつらがいたり。
そんな現場でも、圧倒的に肉体的に楽なので、1月中はお仕事しておりました。
2月に入り、古狸から突然のアナウンス「皆様に貢献していただいた本施設ですが、2月中旬をもって閉所となりました」
お?3月末までと聞いていたのだが?
てか、私はいいんだけど、この仕事のために地方から来ている人たちたくさんいるよな?他の施設に割り当てるとか、次の当てについてのアナウンスはなし?絶対、閉所のことなんて前々から知ってただろ?
そしてですね、ここが一番の肝なのですが、私にこのバイトを紹介してきた人、セクマイ(LGBT)のための人材会社を立ち上げようとしてたのですよ。
まだ立ち上げてないのですが、その走りとして、この仕事にも数人、トランスを送り込んでいて。
その人も私と同じ現場で働いているので、現場のことは知っている。
あのですね、マイノリティ使って商売しようとしてる人間が、いくらなんでも、こんな現場にマイノリティ送っちゃだめよ。(いや、マイノリティ問わないですが)
セクマイ(LGBT)の労働力使って、てめーが儲けようってんなら、せめて、人権関係の研修しているとか、(環境型セクハラ含む)ハラスメント防止・対応がしっかりしているところに送れ??
あと、「皆様」に関連する情報をお届けすると、陽性者対応もね、現場で情報共有がままなってなくて大変杜撰なのです。
働いている人は誰もpcr検査受けてないし。
ということで、またもやね、ムカついちゃったんですよ(ただ、今回は友達だったから、信頼の失墜という一抹の悲しみもある)。
長くなったので、ここでto be continuedします。
ここまで読んで、「働くってこんなもんでしょ?」と思ったあなた、若輩者の老婆心で申し上げますが、やばいっすよ
第一部の話をそこら中にして皆様から良い反応をいただき、味をしめた私
「チャンスふたたび!?」
次回、大人を煽りに煽ります。